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はじめての一夜に【羽柴秀吉】

「……そんじゃ、いいかい? お姫さん」

秀吉の言葉に、つぐみはぎこちなく頷いた。

「本当はもっともーっと煌びやかな場所でこの日を迎えたかった、なんてったら無粋かね」

そう言って笑う秀吉の顔が、月明かりで淡く照らされる。
これまでにないほど、胸が大きく高鳴ってどうにかなりそうなくらいだ。
毛利との和平交渉も落ち着き、報告のため再度やってきた安土の城。
何度も通った秀吉の邸宅に、またこうして足を運ぶことができるなんて、この城に長く滞在していた頃には思いもしなかった。
そして、彼の寝床にこうして横たわり、彼を見上げている状況などどうして想像できるだろう。

「……つぐみ」
「……っ!」

名前を呼ばれて、つぐみはビクリ、と震えた。

「ほんと、あんたってなんでそんなに可愛いんだよ! オレ、我慢できなくなるってぇ、のっ!」
「んんっ!?」

言うや否や、秀吉は彼女の唇に噛みつくように口づけた。
とはいえ、痛みはまるで感じはしなかったのだが。

「ふぅ……っ、んん……っ」

つぐみの全てを吸い尽くすような、そんな接吻だ。
秀吉の舌が、つぐみの唇を、歯列を、そしてその舌を、ゆっくりと舐め回す。
と同時に、つぐみを逃がすまいとするかのように、彼の大きな手が彼女の細い肩を抱いた。

「……ふっ……」

彼の熱い吐息が漏れ、つぐみの頬に流れた。
少し苦しくなって、身じろぎをする。敷き布がこすれる音が、二人の息づかいに重なる。
肩に置かれた手のひらが、スルスルと肌を滑る。そうして、いつの間にか右手は彼女の指を絡めとり、もう一方は着衣の上から乳房に触れていた。

「……お姫さん、なんとか踏み止まれるところでもう一度、聞かしてもらおうか。あんた、覚悟はできてるか?」

そっと唇を離し、秀吉が言う。その目はまっすぐつぐみを見ている。
月の光に秀吉の髪がきらきらと輝く。金色に見えてすごく、綺麗だ。
そんな彼の顔は、自らの言葉通り、残りいくばくかの理性を貼付けているようにみえた。

「…………、はい」

了承の声を口から出した途端、一層大きく心臓が脈を打ち始める。
秀吉は安心したように笑って、すぐにまた唇をつぐみのそれに重ねた。

「ふあっ……!?」

ビリリ、と電撃が走るような感覚が、頭から足の指先まで一瞬で駆け巡る。
秀吉の指が、彼女の乳房にある小さな莟を愛で始めたのだ。

「ふっ、んん……っ、うっ……!」

その快感にはねるように上がる喘声は、秀吉の中に吸い込まれていく。
摘むように擦るように弄ばれる突起は、黒い装束の上からでもわかるほどに主張している。

「やっ、んんぅ……っ」
「……つぐみ、お前さんのここ、ピンピンしてて可愛いぞ」
「そん、な……っ」

囁くように羞恥心を煽られる。
その間にも秀吉の指が、快感を増幅させていく。

「ふあ、あ、あ……っ!」

少し大きな波に、つぐみの体は跳ねた。
まどろみに似た余韻が、じんわりと広がる。

「気持ちよかったかい?」

良いながら、秀吉はつぐみの首筋に口づけた。
つぐみは乱れた息を落ち着かせながら、顔を真っ赤にして伏せる。
かんざしの装飾が小さな音を立てて揺れ、秀吉の触れる肌が震えた。

「……なあ、つぐみ。あんた、初めて、だよな」
「な……!!」

赤い顔を更に色づかせて、つぐみは言葉もでないとばかりに口をぱくぱくさせた。
すると、秀吉は顔を上げ、「ははっ」と小さく笑った。

「別に悪いってぇわけじゃねえさ。ちっとばかし、安心したってぇか……」
「安心? ……って、きゃっ」

秀吉は、つぐみの体を抱きおこし、そのまま彼女の背中に手を回した。
力強く抱きしめられる。

「くのいちって、諜報が多いんだろ? 中には遊女みたいに男を誑かす者もいるなんて聞いたことだってある」
「……秀吉殿は、私を疑っておられるのですか?」
「なっ!? い、いや違う違う!! そういうわけじゃねぇって!」

つぐみの言葉に、秀吉は慌てて大きく頭を振った。

「その……あんたの最初の男になれんのが、嬉しくてさ。つぐみが初めてで良かったって、そう思ったんだよ」
「秀吉殿……」

秀吉の胸に額を押し付ける。ぎゅっと、彼の衣の端を握った。

「ああもう、そういうのが本当、愛らしくてたまんねえんだよな」

腕の力がひと際強くなった。
しかしすぐに、背中から脇へと彼の手がもぞもぞと動き始める。

「……秀吉殿?」

怪訝そうに名前を呼ぶと、童のような笑顔で答えが返ってきた。

「だからさ、もう我慢限界なんだって! いよいよあんたを抱けると思うと、胸が高鳴って高鳴って」
「ひゃっ!?」

そうこうする間に、きつく締め上げていた帯が力を無くして、床に滑り落ちた。
なんという早業だろう。

「姫さん、こんな強引な男は嫌いかい?」

己の装束も外しながら、秀吉は言った。
引き締まった体が薄闇に浮かび上がる。

「……嫌いじゃないから……ここにいるんです」
「ははっ、ありがとよ」

秀吉の指が、つぐみの頬に触れる。
そして、再び口づけられた。
先ほどとは違う、優しく甘い接吻だった。
ゆっくりと、つぐみの肩にかけられた着物を脱がされる。
白い肌が、熱でほんのりと色づき、艶やかに月の光の下に煌めいていた。

「……すごく、すごく綺麗だ。つぐみ。お月さんに住む姫さんだって、今のあんたには勝てねえだろうさ」
「秀吉殿はそんなことばっかり……」
「オレはいつだって本気だぜ。つぐみ。その腕で必死に隠しているオレの宝もんを見せちゃあくれないか」
「い、いつからあなたのものに……!? それに“宝物”なんて……」

秀吉が言っているのは、つぐみの胸のことだ。
他の誰にも見せたことの無い場所を、簡単に披露などできるはずもない。

「宝モンだよ。あんたの全部が、オレの大切な大切な、な」
「やっ……!」

心を掴まれた状態での抵抗など、何の意味もなかった。
見る間に、秀吉によって腕を掴まれ、撓わな双丘が揺れる。

「あっ……!」

ぞくり、と背中に快感がよぎる。
秀吉がまるで赤子のようにつぐみの胸へとむしゃぶりついた。

「あ、んん、やっ……あ……っ!」

片方の柔らかな乳房をゆっくりと揉みしだき、もう片方に舌を這わせる。
動きを不規則にすると、つぐみは大きく鳴いた。
その濡れた声が愛しくて、秀吉は身震いする。

「なあ、お姫さん。ここはどうだい?」
「んんんっ!?」

予想だにしない大きな刺激が、つぐみを襲う。
秀吉が触れたそれは、つぐみの秘部だ。

「……こんなにぐっしゃぐしゃだぜ? 感じてくれたのか?」
「言わな……いで……っ!」

潤んだ瞳が秀吉にすがるように揺れる。

「あんた、それ反則だから。……むちゃくちゃしちまいそうになる」
「あっ! やっ、おやめ、ください……!!」

つぐみの制止を頭上で聞きながら、秀吉は舌を彼女のそこへ這わせる。

「ああああっ!!」

未知の快感に、つぐみは大きく声を上げた。
予測不可能なその感覚が、つぐみの思考を停止させる。

「やっ、ああああんんっ、ひで、よしどの……だめ、だめだめ……っ」

感情に身を任せ、体を大きくしならせた。

「あっ、あっ、ああああああぁぁっ!!」

ピクピクと、体だけでなく執拗に攻められたその場所がヒクついているのがわかる。
涙が頬を流れ、自制を失った口からは唾液が漏れた。

「つぐみ……」
「あっ…………」

赤く肥大したそれを、秀吉は人差し指の腹で転がした。
つぐみの愛液がぬるぬるとそれを滑らせる。
そうするうち、その指が彼女の蜜壷へと進行した。

「んっ……!」

くちゅ、と小さな音がする。
もぞもぞと動くその違和感は、次第に麻痺するがごとく甘くつぐみを支配した。
何度も抜き差しするその動作が、つぐみを一層高ぶらせた。

「……そろそろ……だと思うんだが……」

そう言って、秀吉は身を起こした。
自分の身に起こることを予想して、つぐみはぎゅっと目をつぶる。

「……怖いか? つぐみ」

秀吉の声が耳元に寄り、つぐみは瞼を上げた。

「……少し」
「本当に? 本当に少しかい?」

こくこくと頷き、彼の首に腕をのばす。
初めて、天を向く彼の自慢の髪がいくつかほつれて、汗で額に張り付いていることに気づいた。

「秀吉殿だから……怖くありません」
「……強情だねえ、相変わらず。……出来るだけあんたがつらくないようにするつもりだ。悪いな」

ちゅっと、音を立てて唇を吸われた。
そして、秀吉は自分のそれをつぐみの秘められた場所へとあてがった。

ぬるっ。

「くっ……」

秀吉の声が漏れる。

「っ……!」

つぐみも痛みに顔をしかめた。
眉間にしわを寄せた秀吉が、口角をあげる。

「つれえ、よな。お姫さん。すまん、もうちょっと我慢してくれるか?」
「ん……っ!」

また唇が塞がれた。
秀吉のその意図がつぐみにはわかった気がした。
自分の痛みが少しでも軽減されるようにとしてくれた行為だろう。
舌が絡めとられ、愛おしげに吸われる。
その間に、ゆっくりと彼が中へと入ってくる。
ほぐしたとはいっても、まだ何も受け付けたことの無いその場所を押し広げていくのはどちらにとっても難儀な行為に違いない。

「……つぐみ」

しばしして、秀吉が名を呼んだ。
そして彼女の手を取り、いずこかへと誘った。

「……わかるか? オレとあんたがこうして繋がってる」
「…………っ!」

たどり着いたのは、己の秘部だった。
そして触れたことの無い何かが押し入れられている。
これが、秀吉の……

「おっ、お姫さん赤くなってら」
「あ……、当たり前じゃないですか!! こんな……」

言ってまた赤くなる。
秀吉は笑みをこぼして、つぐみの頬や瞼、額に口づけを落とした。

「つぐみとこうすることができるなんて、オレは幻でも見てんじゃねえかって思えてくる」
「……秀吉殿」
「なあ、オレはあんたのこと、あんたを愛してるこの気持ちをもっともっとあんたに伝えたい。オレがどんだけあんたを好いているかわかってもらいてぇんだ」

秀吉の手が、彼女の頬を包む。

「好きだよ、つぐみ。オレだけのお姫さん」
「秀吉殿……っ!」

つぐみはすがりつくように秀吉の首に腕を回した。
手に入れたぬくもりを逃さぬように。

「私もあなたを……」

訪れた“幸せ”を何度も噛み締めて。

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