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何気ない気遣いが、嬉しい【ガイ・セシル】

「フィーネってさー、ぶっちゃけたところガイのこと好きなの?」

砂漠の真ん中で暑さにやられたのか、いきなりアニスが突拍子のないことを言い 出す。

「え……ええぇっ?!」
「まぁ! そうだったんですの?何故もっと早くにおっしゃらなかったのです? 」

フィーネは暑さに上気した頬を更に赤くさせて突然のことに声をあげ、迫り寄る アニスとフィーネに恐怖する。

「……相手の前で言うことじゃないと思うけど」

ティアの言うとおり、思わぬ話題の種にされたガイは苦笑し、ニヤニヤしたルー クにこづかれている。
ジェイドはと見れば、みなさん青春ですねーハッハッハと涼しげな顔だ。

「あたし、前からかなーり気になってたんだよね~。意味ありげな二人のカ・ン ・ケ・イ」
「なななななないですっ! そんなことこれっぽっちも!」
「おや~? 力いっぱい否定するところが何だか怪しいですねえ」

からかいがいがあると判断したのかジェイドも参戦する。
焦りと恐怖症のせいで慌てふためくフィーネを見ていられなくなったのか、ガイ が止めに入った。

「おいおい、それくらいで勘弁してやれよ」

言い終わるより先に、アニスの高い声が響いた。

「おおっと! 王子様がお姫様を助けに来ましたよ大佐ー!」
「いけませんねえアニスー。それじゃまるで私たちが悪者みたいじゃないですか ー」
「王子っ! あぁ、フィーネの前ではルークの使用人であるガイもたったひとり の王子なのですわね!」

矛先がガイに向かったことで解放されたフィーネはほっと胸を撫で下ろした。
三人に詰め寄られたガイからは、寄るな!触るな!の悲鳴が聞こえる。

「スミにおけねえなーガイも」

ビクリと身体を震わせ、おそるおそる横を見るとそこに居たのは肩にミュウを乗 せたルーク。
イヤな笑顔を浮かべてこちらを見ている。

「えと! えーっとあの…ルークさん?」
「本当のところはどうなんだフィーネ? 言っちまえよ」
「言っちまえ!ですのっ」

フィーネが声にならない声をあげる。
ティアは可哀想にとため息を付きながら額の汗を拭った。

「散々だったな今日は」

宿に着くなり、二人を部屋に閉じ込めて「あとは若い二人に任せて~」とアニス は意味深な笑みを浮かべ、他の皆を連れ買い出しに出かけた。
どっかりとベッドに座ったガイはコキコキと首を鳴らす。

「ごめんなさい、ガイ様。その…私のせいで…」
「はは、君のせいなんかじゃないさ。まあ、めいっぱい否定されたのはつらかったかな」

フィーネは今にも泣き出しそうな顔になり、しどろもどろになりながら言葉を繋 ぐ。

「いやっ、そそその…ガイ様のこと嫌いじゃないんですっ! えと、なんていう かっ」
「ごめん。俺もちょっと意地悪だったな。俺だってフィーネのこと嫌いじゃないさ」
「え…」

ふいに言われた一言にフィーネは思わずガイを見つめた。
真剣にフィーネを見つめる熱い瞳。
心拍数がどんどん上がっていく。
ガイが柔らかい笑みを浮かべた。

「さて。フィーネとはまだ音機関について話してなかったよな? みんなが帰る まで話題の浮遊機関について話そうか」

一瞬間を置いたあと、フィーネははいっと答えた。
まだドキドキが止まらない。
フィーネは苦しい胸を押さえた。

まだ…まだ話すわけにはいかないとフィーネは口を万一文字に結ぶ。
この想いはまだ心の奥底にしまっておかなくてはならない。
もし彼が昔のことを思い出さなかったら、きっと一生。

それでも少しだけ。
ほんの少しだけ。
自惚れてもいいのかな。

フィーネはガイに精一杯の笑顔を向けた。

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