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残像【ジェイド×アッシュ】

認めるのが怖くて、否定して、否定して、

 

 

 

 

『ルークが心配なんだ。 あいつを迎えに行ってやらないとな』

ああ、わかってるさ。
お前の“ルーク”はレプリカのほうだってことぐらい。

ギシリときしむベッドの上で、アッシュはまた寝返りをうった。何度こうして体勢を変えたかわからない。
研究所の前でそう言いそのままあいつを迎えに行ったガイは、振り向くことはなかった。……そんなことずっと前からわかってたじゃないか。

『本物のルークはこいつだろうさ。だけど……俺の親友はあの馬鹿の方なんだよ』

アッシュは、ガイが初めて自分の家にやってきたときのことを思い出した。もう何年前のことだろう。あのときがまだ、自分は“ルーク”だった。
“ルーク”の世話役として召し抱えられたはずなのに、ガイの目は決して主人を見るものではなかった。まるで氷のように冷たかった。
一度も笑ってはくれなかった。
一度も楽しそうにはしてくれなかった。
お前の笑顔なんて、見たこと無かった。

「屑が。なにもかも奪っていきやがった」

退屈そうな目をした、ギャーギャーうるさい片割れの顔がよぎる。回線は、宿に入ってから切ったままだ。
温室育ちのお坊ちゃんは自分から両親の暖かいぬくもりと、好奇心旺盛な自分の姫と、自分を友として見て欲しかった使用人を全てかっさらっていった。
そんなこと、ダアトでの生活で薄れたのだと思っていた。思いこんでいた。もう自分は“聖なる炎の燃えかす”に過ぎないのだと。
玩具を取られた子供みたいな、そんな気持ちにさせられることはもうやめたつもりだったのに。

「おやおや嫉妬ですか。いいですねえ、青春って」
「!」

驚いて起きあがると、ドアの前でにこやかな顔をしたジェイドが立っていた。アッシュは舌打ちを打って顔をそらす。

「あんたか。何の用だ」
「いえ別に。貴方の大好きなガイが居なくなってしまったので寂しくはないかと思いましてね」

そう言いながらジェイドはアッシュのベッドに腰掛けた。
アッシュは深い溝のついた眉間をさらに深くして、その揺れる茶色で長い髪の毛を睨み付ける。
フォミクリーの開発者。この軍人はそんなもう一つの顔を持っている。彼の開発した技術によって、自分にはレプリカという複製が作られた。だからといって、彼を恨むのはお門違いだ。そう、アッシュはいつからか思うようになった。

「ガイはあの屑の使用人だろうが。俺には関係ない」
「そうやって諦めてきたのですか、何もかも」

この男は何故、ヒトの中にずけずけと入り込んでくるのだろう。
そうして、一体何が言いたいのだろう。

「ずっと自分を見て欲しかったガイのことも」
「なっ…んぐっ」

ジェイドの顔をとらえた瞬間だった。
口から出るはずの声は、ジェイドの中へと吸い込まれていった。抵抗する身体は、強い力で押さえつけられて拒否することを許さない。赤い瞳は楽しそうに開いたまま、困惑と焦りに火照るアッシュの顔を見ていた。
彼の舌はまるでからかうかのようにアッシュの口内を動き、口づけなどしたこともないアッシュの羞恥を確実に高めていく。

「貴方もこんなに可愛いのに。勿体ないですね」
「ふざけ…っ、何をする…!」

眼鏡越しではない、ジェイドの目はまっすぐアッシュを見ている。ゆるく笑った口元は恐怖すら感じさせた。
肩で息をしながらアッシュは力なくその瞳を見返した。

「おや、やっぱり若いっていいですねえ。コチラも元気ではないですか」
「はっ…?! な、おいっ! どこ触って…っ!!」
「敏感ですねぇ。もう立ち上がってますよ」

言いながら、ジェイドの手がアッシュの股間をゆるゆると動きまわる。
彼の言う通り、服の上からわかるほどに主張しているアッシュの自身は今か今かと外へ出る機会を伺っているようだ。

「ガイの名前を聞いて欲情しましたか?」
「だまれ! 離せ…このっ」

抵抗しようとしたアッシュの腕は、ジェイドの空いた手で自由を奪われ頭上に掲げられる。両手が彼のたったひとつの手で封じられているのは、ジェイドが力が強いというだけでなく、アッシュが他人に触れられたことのないその場所を彼が弄んでいるためであることは明確だった。

「う、は…っあぁっ」

服の上からだと言うのに、アッシュの性器はビクビクと波打ち、その熱すらもジェイドの手のひらに感じさせた。ジェイドの赤い瞳はまるで新しい玩具を手にする子供のようにアッシュを見、その口元は相変わらず笑みを絶やさない。

「可愛いですよ、アッシュ。ガイが見たらなんて言うでしょうね?」
「ふざけ…っ、あいつ…は…かんけ…ないっ」

ガイ。
情けないこんな姿、見せられない。見せたくない。あいつには。あいつには。この、男にも。

「うっ、あぁっあああ…くっ」

緩く握られ、アッシュは喘ぐ。
その口から声と共に溢れた唾液をジェイドはゆっくりと舐めとった。熱いアッシュの息が鼻をかすめる。

「?!」

突然の外気がアッシュの下半身を襲う。勢いでゆらゆらと揺れる自身を真の当たりにして、アッシュは更なる羞恥を覚えた。

「やめろ…っ! ジェイド…ジェ…ッうああっ」

ぬるり、と生温い何かがアッシュのそれに触れた。ジェイドの舌だ。それはゆっくりと上へと進み、先走りを堪能する。いつのまにかほどいた両の手でアッシュの竿と袋を愛撫した。
自由を得たアッシュの手は、もう抵抗する力もなく、シーツを迫る快感に耐えるように握り締める。
やめろ、やめろと繰り返すその声は熱い自ら吐き出す息で消え、ジェイドの感情を高ぶらせるものでしかなかった。

「うっ、あああああぁぁっ……くっ…は…」

ビュルビュルとジェイドの口内で白濁の液が散り、ビクンビクンと大きくアッシュの腰が震えた。アッシュは大きく息を吐く。
惨めだ。
思わず出そうになる涙を眉間に皺をよせて無理矢理止めた。流したら余計に惨めになる。
何か達成感に似たものと空虚感が交錯していた。そう何度も経験したいものじゃない。

「濃厚、ですね。予想通り」

語尾にハートマークでもつきそうな言い方で、ジェイドは不敵な笑みを浮かべた。アッシュはちっと舌打ちをしながら瞳を閉じる。その時だった。

「?!」

身体が宙に浮いた。そう理解したときにはもうアッシュはジェイドの膝の上に居た。顔のすぐ近くで、35歳の軍人がにこやかにアッシュを見ている。非常に気色が悪い。

「やめろ、変態。今すぐおろ、うっあ、ああ、あっ」
「すみませんねぇ。根っからの変態で」

異物感が予想だにしない場所から巻き起こった。ジェイドの人差し指が、アッシュの秘穴に入り込んだのだ。

「…っ貴様は…っ、ド変態だっ! 離せっ」
「ド変態ですかー。まぁそれでもいいですが、入れる場所はここしかありませんので申し訳ありません」

ジェイドはひょうひょうと言ってのけ、怒り、逃げようとするアッシュの腰をしっかりと押さえ付けた。指の抜き差しを繰り返すに連れ、アッシュは快感に身を委ねジェイドの身体にもたれかかる。
これはこれでオツなものだが、ジェイドにとってここで終わらせるのは勿体無いことだった。

「こんなときガイはなんて言うでしょうね?」

ビクリとアッシュの身体が震える。なんてからかいがいのある男だろう。

「『気持ちいいか〝ルーク〟。ここ、こんなにひきつってるぞ。俺の指をくわえて、はなそうとしない』」
「うっああ…っ、ガイ…ガイっ」

ガイの口調を真似てジェイドが言うと、アッシュはひしと彼に抱きついた。心の奥に押し込めた愛する男と自分とを重ね合わせたであろうその姿はいっそうあいらしかった。

(本当、ド変態ですね)

自嘲し横目でアッシュの顔を見れば、背伸びをしない17歳の素の彼がそこにいた。
抜き差しを繰り返せば、グチュグチュとそこは音をたて始める。ジェイドは指を引き抜くと、手早く自身を取り出し、アッシュの秘穴へとあてがった。

「かっ…くああぁっ…んんっ」

想像以上にその場所はきつかった。指より遥かに大きなその存在をアッシュの入口は押し返そうと必死だ。しかしそれをジェイドは突き破る。

「ああああああっっんぐっ」

悲鳴にも似たアッシュの声をジェイドは口づけで抑えた。感情からか生理的になのか彼の目からは涙が流れていた。痛みをいくらか和らげるようにとジェイドは舌を絡めるが、しばらくしてアッシュもそれに応えた。

「ふっ…あ、あ、あ、あぁっ」

突き上げるリズムに合わせ、唇を離したアッシュが喘いだ。それがお互いを絶頂へと高めていく。
やがて、ジェイドがひときわ大きく突き上げた。

「くっ、あ、あああああっ」
「んっ……は………っ」

その瞬間、アッシュはジェイドに望みもしない大きな弱味を握らせることになる。

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