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Every Jack has his Gill.【蛭魔妖一×姉崎まもり】

抱きしめていたヒル魔の腕が、動いた。

「ヒ、ヒル魔くんっ!どこ触ってんのよっ」
「さぁ、どこでしょー?」

腰にあったはずの手が今は体の上の方、まもりの双胸に置かれていた。

「ちょっ、やっ…手、退けなさいよ…!」
「ヤダ」

そのまま胸を掴まれた。
優しく、何度も。

「…っもう…ヒル魔く…っ」

体中が熱くなり、まもりは今にも倒れてしまいそうになった。
だが部室奥、昼休み、ヒル魔に抱かれた状態に居るまもりにはそんなことを心配する必要はつゆほどにもなかった。

「じゅ、授業っ!」
「あ?」
「授業、始まっちゃうじゃない!」

何とかしてこの状況から脱しなければならない。
自分の知らない意識に体を乗っ取られる前に。

「良いんじゃねぇの?たまには」
「たっ、たまにはって…」

確かにまもりにとって授業をさぼることは、『たまには』という言葉で片づけられる。
だが。

「ヒル魔くんはしょっちゅうじゃないっ」
「ケケケ、部活にだけ出れりゃいいからな」

出席日数が足りるだけしか授業に出ていないのだ、この男は。

「そうか。まじめで優等生の風紀委員にとっちゃ重罪か」
「っ…」

ヒル魔はまもりの左耳を甘噛みした。
相変わらず彼の細長い指は、制服の上からまもりの胸を捕らえている。

「どうする。授業、出るか?」

答えには選択肢などない。
彼はまもりの『出ない』という一言を待っている。
彼の瞳がそう語っている。
まもりはそれから逃れるすべを知らない。

「…出…ない…」

ヒル魔は嬉しそうににやりと笑い、まもりのリボンをほどく。
体が震える。

「怖いか」
「…ちょっと」

キスの経験はある。
毎日する。
数えられないほどする。
する度に心地よくて、幸せな気分になる。
けれどそれ以上は。

ヒル魔がまもりに口づけた。
いつものように優しく、探るように。
そのキスによって、まもりの震えが治まった。
これ以上は怖い。
だけど、もっとヒル魔に触れてみたくなる。
もっと一緒に居たくなる。
もっと、もっと近くへ。

ヒル魔が唇を離すと、答えるようにまもりが彼に口づけた。

待たせてごめんね。

ゆっくりとブラウスをはだけさせ、ヒル魔は唇を下へとずらしていく。
胸につけられたキスマークに、まもりは頬を赤らめた。

「誘うなよ」

ヒル魔はまもりの顔を見て言った。

「さっ、誘ってません!…最初に始めたのはヒル魔くんでしょ?…もう」

ヒル魔は笑ってまもりの背中に手を伸ばす。
下着のフックがはずされた。
手慣れた動きが少し悔しい。

「嬉しいか、キスマーク」
「…う、嬉しいですけど」

頭がオーバーヒート気味で、声が震えた。
ヒル魔が、すでにはだけていた自分の鎖骨の辺りを指差す。

「お前も付けるか?」

まもりは一瞬迷った。
けれど、意を決してヒル魔の胸へ顔を寄せる。
彼が先ほどしたように、肌を強く吸った。
おそるおそる離れると赤い痣がきれいに出来上がっていた。

「俺につけたのは、てめえが初めてだ」
「ほんと…?」

下着のフックをはずされた時、無意識に感情が顔に出ていたのだろうか。
ヒル魔はまもりの行動はわかりやすいとよく言う。
何もかも見透かしているかのように。

ブラウスを袖からはずされ、胸の下着も取られた。
形のよい双胸が露わにされる。
ヒル魔は片方の赤い突起を口に含んだ。

「ぁ…っ」

高く、甘い声にまもり自身が驚いた。

何?この声…

思わず口に手を当て、必死に堪えようとする。

「…んっ…んんぅ…ん…」
「…何手で塞いでやがる」

それを見たヒル魔はまもりの口から手を退けさせる。

「俺は姉崎さんのハズカシイ声が聞きたいんですケドネ?」
「~~っ!む、無理っ」
「何が」
「なんか嫌なの…私じゃなくなりそうで…」

先ほどから恐れている自分ではないかのような意識の浸食。
普段保っている自己を投げ出してしまいそうな、そんな感覚。

「てめえはてめえだ。自分じゃなくなりそうになったとしても、てめえの中でのことなら、そりゃあてめえの一部ってこった」
「どういうこと…?」

訳が分からなくなり聞き返すと、ヒル魔はため息をついて前髪をかきあげた。

「理性が飛びそうになるってことだろ、要は」
「うん…多分」
「だったら残るのは本能。それがてめえが知らないてめえ自身。怖がることなんかねえだ ろ。こういうときぐらい本能を出してみろ」

ヒル魔が再び突起を舌で弄ぶ。
ゆるゆると襲ってくる快感にまもりは耐えられず声を上げた。

「あ…んぅ…ぁ」

恥ずかしい。
だけど、出さずには居られない。
ヒル魔の言う本能が、自分の中で見え隠れする。

ヒル魔の右手が まもりの足へと伸ばされた。
腿の内側を撫でられ、身体がピクリと反応する。

「や…ぁ…」
「嫌?これが?」

もう一度ヒル魔がまもりの膝から内股まで手を這わせた。
全身に快感がよぎる。

「ひゃあぁぁんっ…ぁ…意地…悪…っ」
「ケケケ。姉崎まもりはココが弱ぇ…と。脅迫手帳に書いとくか」
「や、やめ…」
「ウ・ソ。てめえのことなんざ、いちいち書かなくても把握してっからな」

ヒル魔はしゃがみ、まもりの下着を脱がし、スカートをめくった。

「嬉しいくらい感じてくれてイマスネ、姉崎サン」

ヒル魔は愉快そうにそこに口づけた。

「ど…してそ…いうこと言う…かな…」

まもりは目の上に腕を置き、羞恥心と迫り来る身体が浮くような感覚に耐えようとしていた。

「…っ!」

ヒル魔の舌がまもりの敏感な場所に当てられた。
なま暖かく、そして不自然に動く舌に今まで以上の感情が押し寄せてくる。

「あっ…あぁ…はん…ぅ…ヒル…魔…く…っ」

ずるずると身体が壁づたいに降りていく。
足がガクガクと震え、身体を支えることができない。
まもりが座り込んでも、ヒル魔は舌を止めなかった。
まもりは中途半端に脱がされたブラウスを握りしめた。
かつて経験したことのない感覚。
こんなのを経験することになるとは夢にも思わなかった。
快感と、羞恥心と、少しの不安と、

「ヒル魔…くん…っ」

貴方への愛。

どこか知らない場所へ上り詰めてしまう、そう思ったときヒル魔は愛撫を止めた。

「ヒル魔…くん?」
「今から俺を名前で呼べ」
「…ヒ………妖一…?」
「あぁ」

初めて呼ぶ彼の名をまもりは心の中で何度も反芻した。
ヒル魔は、まもりを床に寝かせると、ズボンから自身を取り出しまもりのソコにあてがう。
まもりの全身に緊張が走った。

「まもり、力抜け」
「抜けって言ったって…簡単に抜けるもんじゃ…」

まもりは歯を食いしばる。
ヒル魔を受け入れたい、確かにそう思ったはずなのに身体は言うことを聞かず、彼の進入を拒む。

「…っ…ぅ…」

ほんの少し、ヒル魔の先端が入った。
まもりは激痛に顔を歪める。
ヒル魔は、まもりに口付けた。
あの、優しいキス。
奥まで溶かしてしまいそうな。
まもりはそのキスに酔わされた。

「…んっ…ふ…ぅ…!」

その瞬間、ヒル魔の自身がすべてまもりの中へ入りきった。

「…大丈夫か?」

ヒル魔が唇を離して聞くと、まもりはゆっくりと頷いた。
まもりはヒル魔の背中に手を回す。
彼の胸に顔をつけると、心地よい心臓の音が響いた。

「さて、俺も少しばかり気持ちイイ思いをしたいんですがねえ」

ヒル魔はそう言って笑い、まもりの瞳をのぞき込む。

「…頑張ります…」

まもりは更にヒル魔にしがみついた。

――――――――――――――――――

「あ。付けんの忘れた」

六時限目開始のチャイムを聞きながら、ヒル魔はぽつりとつぶやいた。

「え……ってえぇ?!」
「耳元でぎゃんぎゃん騒ぐな」

まもりはブラウスのボタンを留める手を止め、顔を青くした。

「ほー、俺の子を産むのはそんなに嫌か」
「そ、そういう問題じゃなくて!年を考えなさいよ。私たちまだ高校2年生じゃない」
「まぁ、周期的には問題ねえから大丈夫だろ」
「そりゃ、そうだけど……って、何でそんなこと知ってるのよっ」

ケケケと言う笑い声が部室に響いた。

「てめえのことなら何でもわかるぜ?どんなことでもな」
「…もう、なによそれ」

まもりはボタンを留め終え、リボンを手に取る。

「Every Jack has his Gill.」
「!」

ヒル魔がまもりのリボンを奪った。

「俺にはお前が必要ってこった。てめえもそうだろ」
「……うん」

再び、二人の唇が重なる。

あと、45分。

二人は恋人から、キャプテンとマネージャーに戻る。

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