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かみなり【蛭魔妖一×姉崎まもり】

午後七時三十分少しすぎ、泥門高校に落雷。

「ちょっ、やだ。真っ暗」

まもりの声。

「今日は糞先公ども、みんな帰ったかんな。明日まで復旧はねえんじゃねぇか? 」

ヒル魔の声。

しばしの沈黙。

「…ヒル魔くん」

「なんでゴザイマスカ、糞マネ」

「どこにいる?」

明かりがないと無性に不安になる。
さっきまで、すぐそばに居たはずなのに。

テーブルの上に手を這わせると、ヒル魔の細長い指に触れる。
まもりは彼の手を握った。
頬が緩み、安堵した。
もう片方の手で椅子を探し、そこへ座った。

「…風紀委員に暗闇で襲われる」
「なっ、襲ってません!」

ヒル魔の笑い声が聞こえる。
まもりは頬を膨らした。
そんなことをしても、相手に見えるわけはないのに。
ふいに、ヒル魔の手が消えた。

「えっ、ヒル魔くんっ?」

コツコツという足音。
どうしようもないほどの不安に襲われる。
思わず立ち上がった。

「ちょ、どこ?!」

ポツポツと雨音がし始めた。
それがまもりをさらに不安にさせる。

「ひゃっ」
「もっと色気のある声はだせねぇのか」

突然後ろから抱きすくめられ、まもりは少し声をあげた。

「い、色気のある声なんて出せませんっ」
「出してるだろ。俺にしがみついて『あ」
「言ってませんっ!」

ヒル魔はまもりの胸を制服の上から掴んだ。

「んぁっ」
「出せるじゃねえか」

ヒル魔の手の動きが激しくなる。

「…ちょっ、やめて…」
「どうしよっかなー」

まもりの行動を楽しむかのようにヒル魔は笑う。
このままでは、またヒル魔の良いように流されてしまう。

「もう帰らないと…遅くなっちゃう…っ」
「ほー。お前はこの土砂降りの中、一人で帰るのか?」

部室の外から聞こえる、激しい雨の音。
この中を一人で帰るのは、確かに心細い。
しかも、夜八時近く。

「……帰れま…せん……」
「んじゃ、続行だな」

耳元に響く、ヒル魔の声。
背後に居るため、顔が見えない。
どちらにしろ、この暗闇の中、向き合ったとしても顔を確認するのはやっとだろ う。

「ぁ…」

首筋を舐められた。
ぞわり、とする感覚。
ブラウスのボタンがはずされる。
まだ下着の上からであるが、しっかりと掴まれるまもりの胸。

「やっ…ぁ」

突然、太ももを撫でられた。
どこに触れられるかわからない。
そんな思いがまもりの全身を敏感にさせる。

「マァ、とっても敏感デスコト」
「ちょっ…ふざけないでよ…!」
「ふざけてませ~ん」

ヒル魔はまもりの左太ももを上下に撫でた。
まもりの吐息が荒くなる。
そして、テーブルの上へゆっくり倒れ込んだ。

時計針の動く音がいつもより大きく聞こえる。

熱を持った場所にヒル魔の人差し指が当てられた。
布越しに感じる快感。

「や…っ」

擦るような指の動きに身体が小刻みに揺れた。

「イきそうか」
「う…んっ…」

ヒル魔の指の動きが激しくなる。
まもりは声を上げて体を反らした。

「雨、止んだぞ」

部室のドアを開き、ヒル魔は薄曇りの空を上半身裸のまま、見上げた。
雲の合間から月が見え隠れしている。

「止んだって言ったって…動けませんけど」

結局、テーブルから床へと押し倒されてしまったまもりは、外からの薄明かりに 照れされるヒル魔を見た。
鈍い腰の痛みに顔をしかめる。

「体力ねえなー」
「毎日体力作りしてる誰かさんとは違います」

まもりの下に広げられたヒル魔のワイシャツは、おそらく彼の気遣いだろう。
少し前まで極悪非道な奴だと思っていたのに、今では彼に対する考え方は全く違 う。
まもりは衣服の乱れを直し、なんとか座り込むと、ヒル魔のワイシャツを拾い、 ほこりをはらった。

「背中痛くねえか」
「うん、たぶん大丈夫。ありがとう」

ヒル魔はまもりからワイシャツを受け取り、それを身につけた。

「停電っつーのも案外いいな」
「…よくありません…」

むくれるまもりを見て、ヒル魔は愉快そうに笑った。

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