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飯か、風呂か【リヴァイ×ハンジ・ゾエ】

「……おい、クソメガネ」
「…………ん? おー! リヴァイじゃーん! どしたのー?」
その素っ頓狂な声に、リヴァイは大きくため息をついた。
「どうしたじゃねぇ。……チッ、なんだ、この部屋は。俺が3日前に片してやったはずだが」
机だけではなく、床にもベッドの上にも無造作に広げられた本、そして資料の数々。
その全てが巨人に関するものだというのは言うまでもない。
「いやー! ごめんごめん! ちょーっと思いついたことがあったから、つい」
軽い謝罪に呆れて頭を抱えた。
ハンジは机に向かったままこちらを見ようともせず、執拗にペンを走らせている。
察するに、3日前からこの状態なのだ。
雑然としている中にひとつとして衣服の類いがないということは、着の身着のまま、徹夜を強いたのだろう。
一度研究を始めると、他ごと一切に無頓着になるのがハンジの悪い癖だ。
「どうでもいいが飯ぐらい食え。それと風呂には必ず入れ。必ずだ」
“必ず”という言葉を強く発音する。
その拍子に思わず腕にも力が入ってしまったらしく、カシャンと音を立てた。
リヴァイが右手に持っているのは、パンとスープが乗ったプレートだ。
話を聞かないハンジに、困った部下がリヴァイに泣きついてきたのは、ほんの少し前のことだ。
「ああ〜っ! リヴァイ〜!」
ハンジの悲鳴に聞こえない振りをして、書き留めているノートを取り上げ、机の上の崩れた本を手早く積み上げた。
片手しか使えないことにまどろっこしさを感じながら、リヴァイは手持ちのハンカチを取り出して机を拭き、やっとプレートを置く。
「お腹なんて全然空いてないよ! それより、今のうちに書き留めておきたいんだ。この間出会った奇行種のことをさ! 頭から溢れ出して止まらな……っ」
「ハンジ」
「ん? って、っ……!」
リヴァイは、ハンジの無造作に束ねられた髪を掴んで、自身の顔に引き寄せた。
「聞こえなかったか。いいから食え。そして風呂ぐらい入……っ」
掴んだ髪をクシャクシャと弄ぶ。
……ゴワゴワして、それでいて脂っぽい。
「……ハンジ。お前、最後に風呂に入ったのはいつだ」
「えっ? 5日……いや、6日前かな。あ、でも、今日は綺麗なほうだと思うよ」
「…………っ」
ブチブチッ、という音が聞こえそうな程、リヴァイの額の血管が浮かび上がる。
━━と。
「ちょっ!? いたっ!! 痛いよ、リヴァイ!!」
髪を掴んだまま、リヴァイはハンジを無理矢理引っ張って立ち上がった。
「……ろだ……」
「えっ?」
「飯の前に風呂だっ!!」
リヴァイは大きく叫んで、ハンジを部屋から引きずり出した。

「いったーっ! リヴァイ、ちょっと強引すぎない?」
「……そうでもしねえと動かないクソ中のクソがいるからな」
共用の風呂場にリヴァイはハンジを投げ入れた。
普段は男女それぞれ入浴時間が定められているが、幸い深夜に近いこの刻限には誰もいない。
「うわ〜、まだ湿っててビショビショ……」
「どっちにしろそれも洗うから問題ねえ」
そう言いながら、リヴァイが上着の袖をまくり上げた。
「ちょっ、ちょちょっ! リヴァイ、何を……」
「雑菌を駆逐する」
言うや否や、ハンジの上着のボタンに手をかけた。
リヴァイより少し色素の濃い肌が露出する。
「待ってって、もう。貴方、頭に血が上り過ぎだよ」
「今更恥ずかしがる歳でもないだろうが」
リヴァイの言葉に、ハンジが口を噤む。
まとめていた髪も片手でほどかれる。
「眼鏡も外すぞ、クソメガネ」
「はいはい」
されるがまま、ハンジの視界はぼんやりとにじんだ。
こんなに近い距離にいるのに、もうリヴァイの顔が見えない。
ボトムスに手をかけたところで、彼の手が止まった。
「…………女?」
「……リヴァイ、乙女をむいておいてそれはないんじゃない?」
ガバッと、上着を開かれる。
これも確認の一旦だろう。
些細な胸だがそれなりについているのが見て取れるはずだ。
「…………」
「リヴァイ? もしかして、興奮したの?」
眼鏡がないせいで、彼の表情が見て取れない。
ギリギリまで顔を突き出して視認しようとする。
その瞬間、頭を両手で掴まれた。
「女だったのなら、余計に疑問だ。どうしてこうも自分の身なりに無頓着なんだ、お前は!」
「え? ……ってぶわっ!」
上も下も、ものすごい勢いで剥ぎ取られ、息つく間も無く頭の上から湯をかけられる。
気づけば、洗髪粉も使われたようだ。
独特なにおいが鼻をつき、頭部にリヴァイの両手五指の心地よい圧を感じる。
「せっかくの綺麗な髪だ。少しは気を使え」
「おおー! リヴァイが珍しく褒めてくれてる!」
呆れてるんだ、と言い終わらないうちに返しが来た。
しばらくして、湯で流され、もう一度洗髪粉で髪を洗われる。
心の中で1回で良いのに、などと思ったが口に出したらまた何か言われそうで止めた。
その2回目の洗髪も、湯で流されて終いになった。
「んん〜っ! 気持ちよかったー! リヴァイ兵士長に髪を洗ってもらえたなんて、部下達への自慢話ができたよ」
「お前の価値が下がるだけだ。止めておけ」
言葉と同時に、小さな水音がした。
ぞうきんを絞ったようなそんな音。
怪訝に思う間に、その正解が腕に押し当てられた。
「リ、リヴァイ! さすがに体は自分でも洗えるよ」
そう言って布を取り上げようとすると、さっと身を引かれる。
「俺は雑菌を駆逐すると言ったはずだ。俺の手でな」
「っ……!」
程よい力で、体に布がこすりつけられる。
首から腕、背中、足の先に至るまで、加減が絶妙で心地いい。
なんだって、リヴァイは自分にこんなことをするのだろう、そんな問いが頭の中を巡る。
「あっ……!」
思わず、自分でも驚く程甘い声が漏れてハンジは口を抑えた。
彼女の胸をリヴァイの布が擦った。
それも敏感な部分にだ。
「リヴァイ……っ、もうっ」
思いも寄らぬことに困惑しながら、布を奪おうと手を伸ばす。
視界が定まらないハンジを避けるのは容易いようで、空を掴んで終わった。
「大人しくしていろ。俺に任せていればいい」
「そんなこと言ったって……!」
これで意識しない方が無理な話だ。
どこに触れるかわからない状況に、神経が研ぎすまされている。
完全に無意識だ。
制御しようと思ってできるものではない。
「ひゃっ……!」
滑り込んだのは、足の間。
普段、他人が見ることの無い場所。
「リヴァイ……っ! はぁ……っ、そこ……は……っ!」
「黙っていろ」
「うっ……!」
首筋を甘噛みされる。
ビクリと体が跳ねた。
ありえない。
リヴァイが自分の性器を洗うだなんて。
そもそも。
無抵抗に裸になって、身を委ねるだなんて。
「……あり……えない……」
小さく呟いた。
「本当にな……」
背後からリヴァイが答えた。
顎を掴まれ、横を向かされる。
思いのほか、リヴァイが大きく見えてどきりとした。
「ふっ……!」
口づけをされた。
下唇を舐められて、すぐに口の中への進行を許した。
顎を掴んでいない方の手は、ハンジの秘部に留まったままだ。
(急所を抑えられてるなんて……ゾクゾクする)
ぶるっと体が震えた。
「……邪魔だな」
「は、あっ……!」
リヴァイの言葉と共に、的確な快感が襲う。
彼の手が、ハンジの莟を摘んだのだ。
「や……ヤバいってリヴァイ……!」
「何がだ?」
そりゃあ、一応貴方は兵士長だし、自分は分隊長だし……などという考えはすぐに消えた。
「んあっ、あっ、んんっ」
「声は抑えろ、クソメガネ」
無理だ、なんて反論する余裕が無い。
リヴァイの指が、小刻みに動いてハンジの莟を刺激する。
感じたことの無い感情が徐々に彼女の中を支配し始めた。
「リヴァ、イ……っ、だ、だめだ……っ」
「……イけよ」
ほとんど息が混じった声で耳元に囁かれた。
顎を捉えていたはずの手が、胸へと移動した。
赤くそそり立った乳首をキュッと摘まれる。
ちゅくちゅくと、リヴァイの指がハンジの莟を滑る音が響く。
「あっ、リヴァ……ッ」
頭の中が熱くて、もう限界だ。
「んはっ……! あっ……」
びくんと、体が痙攣したように跳ねてそのままハンジはリヴァイにもたれかかった。
呼吸が乱れて何も考えられない。
体が重くてぼうっとする。
「ハンジ……」
「ん……リヴァイ……っ」
再びリヴァイが唇を奪った。
ハンジの舌に彼のそれがゆっくりと絡み付いた。
「ふっ……んんっ!?」
熱を持ったままの秘部に再び違和感が襲った。
リヴァイの指がハンジの中へと入ってきたのだ。
「んふっ、んんんぅ……っ」
逃れようとするハンジの後頭部を抑え、リヴァイはキスを続行する。
彼の指は上下に動き、彼女の秘部はジュブジュブと卑猥な音を立てた。
それは回を追うごとに速さを増し、ハンジを極限まで追いつめていく。
床に広がる水たまりも、もう湯なのかハンジの愛液なのかわからない。
「んんっ、ん、んーっ」
リヴァイの腕を握って、やめろと合図しても止める様子がない。
快感の波が矢継ぎ早にやってくる。
どうにかなりそうだ。
「んふっ、んんんっ、んっ……!」
絶頂に達しそうなそのとき。
ピタリとリヴァイの指が止まった。
逃すまいとしていた唇もそっと離れる。
「ど……して? って、いた!」
振り向くとごちんと額をぶつけられる。
「……もう俺が持たないからだ」
ぼんやりとした視界では見えないが、リヴァイは上着を脱いだようだ。
ハンジがもたれかかったせいで、恐らくびしょ濡れだ。
肌色が多かったので、どうやらボトムスも脱いだことがわかった。
「来い、ハンジ」
腕を掴まれたかと思うと、彼の上へと誘導される。
その意図がわからず、首を傾げるうちに腰に手を添えられた。
「背中に傷をつけられでもしたら困る」
リヴァイの言葉にはっとした。
そうか。私を気遣ってくれているのか。
「……痛かったら……言え」
これだけのことをしておいて今更だ。
けれどリヴァイが気にしているのがおかしくてついに吹き出した。
「お前……ッ」
顔を真っ赤にしたリヴァイが思い浮かぶ。
眼鏡をかけていないことに、初めて後悔した。
「ごめんごめん、リヴァイ。ありがとう」
彼の頬に触れたくて手を伸ばす。
しかし目測を誤ってうまく届かない。
「……ここだ」
手を引かれて体が前のめりになった。
触れたのは、紛れもなくリヴァイの頬だ。
そっとキスをする。
……間違っていない。
腰をゆっくり下ろせば、リヴァイの自身が、ハンジの熱い場所に入り込んできた。
少しずつ押し広げられる。
それはあまりかからなかったが、ハンジにとっては長い長い時間に感じた。
「……動くぞ」
「……りょーかい。……んっ!」
打ち付けられた瞬間、頭に火花が散った。
感じたことのない衝撃、感触。
2回、3回と打ち付けられるたび、それらは甘く変化していく。
「……お前、淫乱すぎだ」
「なに、が……」
「腰動いてる」
リヴァイに言われて気がついた。
彼の動きに合わせ、自分も腰を振っている。
「しょうが、ない、でしょ、んっ、あっ、ああ!」
快感が襲う。
こんなことを経験したことはない。
なのに、何かに似ている。
何かと同じような感情だ。
それは、何なのだろう。
「あっ、あっ、はっ、んんっ、ぅあっ」
「ハン……ジ……」
リヴァイがハンジを抱きしめた。
身長差のせいで、リヴァイの頬は彼女の胸に触れた。
(ああ、そっか)
それは、まるで子どものようで。
(巨人に会ったときみたいなんだ……)
「ふっ、く……ッ!」
「あっ、ああああっ!」
リヴァイの熱がハンジの中で爆ぜて、ふたりはお互いに絶頂に達した。
「ねぇ、リヴァイ」
「……なんだ」
肩で息をしながらめんどくさそうにリヴァイが答えた。
彼の胸に耳を当てれば、激しい鼓動が聞こえてくる。
「私が女だったから興奮したの? そこんとこはっきりさせとこうよ」
「は……?」
呆れた声がしたかと思うと、頭をガシガシと掴まれた。
「お前だったらどちらでも……っ! ……チッ、何でもねえ」
ふてくされたのか、投げやりな回答だ。
それでもハンジには十分だった。
「……もっかい洗い直しだな」
ぼそりとリヴァイが放ったその言葉に、ハンジは驚いて身を起こす。
「もう十分洗ったじゃない! そう、1ヶ月分くらい!」
「馬鹿野郎! 汗もかいたしぐしょぐしょじゃねえか! 安心しろ、隅から隅まで洗ってやる」
「私は……っ!?」
ぐいっと後頭部を掴まれる。
揺らいだままの視界に、リヴァイがはっきりと見える。

「……俺も一緒に洗う」

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