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中学性日記【桃城 武×橘 杏】

「なんで会えないの?!」

思わず、私は電話越しで叫んでしまった。

『なんでって…部活なんだからしょうがねぇな、しょうがねぇよ』

それでも落ち着いた貴方の言葉に私はついに頭に血が上る。

「モモシロくんの、バカっ」

勢いで電話を切った。
……この頃いつもこんな感じ。
電話しても一方的に私が怒って、モモシロくんが呆れて、また私が怒って切る。
部活が大変だって言うの、よくわかるわ。
でも、私たち、付き合ってるんだよね……?
すごく大好きなテニス。
けれど今は、ものすごく疎ましく感じる。
テニスと自分を天秤にかけても、きっと彼はテニスを取るんだと思うと、悔しかった。
テニスをするモモシロくんは最高にかっこいい。
切っても切れない。
だけど私のことは…。

「どうでもいいっていうの?」

思わず呟いた言葉。
その言葉がどうしようもなく切なく感じて、胸がしめつけられた。
独りよがり。
自分勝手。
分かりきってたことだけど。

「なんで涙出るかな…」

堪えきれずに流れた涙。
彼はそんな人じゃないのに。
分かってるのに…。
私はベットの上で、声を押し殺して泣いた。

――――――…………

『モモシロくんのバカっ』

昨日の杏の言葉がまだ耳に残っている。
そりゃー、怒るわな。
全然会ってねぇんだもん。
俺は、準備体操をしながらそんなことを考えていた。

「もーもっ。考えごとしてっと、大石に怒られっぞ~」
「どわっ」

エージ先輩に後ろからどつかれ、俺は前に転けそうになる体を何とか持ち直した。

「エージ先輩っ!っんとに、あぶねぇなぁ、あぶねぇよ…」
「にゃははっ。悪い、悪い。ところでなに考えてたんだよ?珍しいじゃん、桃が考え事なんてさ」
「俺だっていろいろと悩むんすよ」

むっとして答えると、エージ先輩はにやにやした顔で俺に耳打ちをした。

「も・し・か・し・て、桃が大好きな杏ちゃんのことかにゃ?」
「んなっっ」

あまりにも的を得た先輩の言葉に、俺は体が熱くなるのを感じた。

「あったりぃ~?うんうん、俺も桃の性格、ちゃんとわかってんじゃん」

頷く先輩をよそに、俺は柔軟を始めた。

「んでんで?杏ちゃんがどうしたの?背中押してやるからさぁ」

エージ先輩はにやにやしながら俺の背中に回る。

「…大石部長代理に怒られるんじゃないんですか?」
「おーいしは今、スミレちゃんにお呼びだしくらってるよん」

俺はひとつ大きなため息を吐くと、先輩に昨日のことを伝えた。

「…悪いとは思ってるんスけどね。部活となるとなかなか…」

電話越しの杏の声は怒ってはいたが、多少涙混じりだった気もする。

「そっか。他校生同士だもんねぇ」

俺の背を押しながら、エージ先輩は意外にもまじめに俺の話を聞いてくれた。

「杏ちゃんも、だけどさ。桃は欲求不満とかないの?」
「えっ…」

俺は思わず答えに詰まった。
杏に悪いということしか考えていなかったから。
しばらく会っていなかった彼女。
どうしようもなく好きな、かけがえのない存在。
俺は自分の中から沸き上がる欲を感じた。

「あります…ね。今すぐにでも抱きしめたいっスよ」

抱きしめたときの髪からする、甘い香りとか、柔らかい体の感触とか。
何よりもアイツに会いたくて。

「…会いに行ったら?部活終わってからでもさ」

エージ先輩はそう言ってぺしっと俺の背中を叩いた。
俺は立ち上がって大きく伸びをする。

「そうっすね。後で電話でもしてみます」
「さーって、ちょっと打ち合わない?桃」
「いいっすよっ」

英二先輩に笑顔を向けながら。
俺は傍らのラケットに手を伸ばした。

「ストリートにでも行こうかな」

嘆いててもしょうがない。
私はこのもやもやを体を動かしてどうにかしようと、家を出た。
泉くんたちが居てくれたらいいな、なんて考えてるとポケットに入っていた携帯が鳴った。
表示を見なくてもわかる。
この曲は………モモシロくんだ。

「も…しもし」

私は歩みを止め、躊躇いがちに電話に出る。
おそるおそる耳に当てると、意外に緊張した声が聞こえた。

『杏…?あの…さ、これから会えねぇ…?』
「会えるの…?」

突然のことに、思ったことが声に出た。

『あぁ…。つーか、会いたい』

モモシロくんの言葉に涙が出そうになる。

「私も…会いたいよ」

必死に堪えたけれど、声が震えた。

『ストリートの階段に来れるか?』
「今、向かってる」

私は走った。
見慣れた風景。
歩き慣れた道。
全てが過ぎ去っていく。

『俺も今、向かってる』

モモシロくんの息づかいが聞こえる。

「…切らないでね」

ふと、電話を切ったら貴方に逢えない気がした。
それが怖くて。

『切らねぇよ。おまえに逢うまでは』
「ありがと…」

そうして、あの長い階段が見えてきて、道の向こうから携帯片手に自転車をこぐ彼もまた少しずつ見えてきた。

「モモシロくん!」

たまらず叫ぶと、目の前の彼と電話の彼が同時に私の名前を呼んだ。

「『杏…!』」

私は我慢できずにモモシロくんの胸に飛び込んだ。
手から携帯が落ちた。
その落下音と同時にモモシロくんの左手が私の背中に回される。

「ごめんな、杏。ホントごめん」

私が言いたかったことを先に言われ、口ごもる。

「寂しい思いさせちまって悪い」

電話を通してじゃない、直に聞こえる貴方の声に胸が詰まった。

「私も…ごめんね」

言い終わる前に、モモシロくんが私の口を自分のそれで封じた。
モモシロくんのキスは少しスポーツ飲料の味がした。
周りの人がこっちを見てたけど、何だかどうでも良かった。
唇を離すとモモシロくんと視線がかち合った。

「…今日さ、俺んち来ねえ?」

自転車のハンドルを握り、モモシロくんは戸惑いながら言った。
表情から何の誘いかわかる。

「いいよ。私も…したい」

━━━━━━…………

久しぶりに入ったモモシロくんの部屋。
一緒に片づけたのはいつの日だったか。
予想よりも片づけられた部屋に少し驚いた。
モモシロくんはドアを閉めると、後ろから私を抱きしめた。

「ぁ…っ」

首筋を舐められ、思わず声が出た。
モモシロの右手が私の服に入り、下着の上から胸を揉む。

「や…モモシロくん…っ」

二ヶ所の性感帯を刺激され、どうにかなりそうになる。
こんな近くにモモシロくんが居る。
私に触れてくれている。

「ぜってぇ、離さねぇから」

耳に息がかかり、ドキッとする。
その低く甘い声と一緒に、首と胸から快感が押し寄せる。

「ぁっんんっ」

私は、下唇を噛みしめて声を殺した。

「声、我慢すんなよ」
「でも…ッ」
「誰もいねえからさ。……杏の声、聞きたい」
「あぁんっ!」

モモシロくんの手が服を下着ごとたくし上げ、直に私の胸に触れた。
下を見下ろすと、無防備になった二つの胸が揺れている。
それぞれの突起が上を向いていた。
モモシロくんはそれをつまみ、両方を刺激した。

「あぁっ…んんぅ」

あまりの快感に立っていられなくなる。

「モモシロくっ…私、もう立てなぃ…ぁ」
「ベッド行くか?」

無言で何度も頷くと、体が宙に浮く。
すぐに柔らかい感触。
私を寝かせると、モモシロくんはワイシャツを脱いだ。
鍛えられた体。
鎖骨とか、六つに割れた筋肉とか。
いつも目を奪われる。
モモシロくんが軽く私に口づける。

「見すぎだっつーの」
「だって…カッコいいんだもん」

モモシロくんは、照れたように笑ってもう一度キスをした。

「杏も可愛いよ」
「ひぁっ」

ほとんど不意打ちにモモシロくんの手が私の秘部の場所へと動いた。

「湿ってるぜ?ここ」

その言葉に赤くなり更に、ソコが湿り気が増すの感じた。

「脱がすぜ」

モモシロくんが私のスコートとスパッツを脱がした。

「んやっ…あぁん…んぅ…」

モモシロくんは片手で私の秘部を弄びながら、胸の突起を口に含み、舌を動かした。
ざらざらとしたその感触と、動きに翻弄され、私は声を更に乱した。
私の秘部はもう十分に濡れ、押し寄せる快感の波にひくついている。

「もぅ…我慢できないよ…っ」

耐えきれずに哀願すると、モモシロくんは自身を出し、ベッドに置いてあった避妊具に手を伸ばした。
高く反り上がったソレからは、もう先走りの液が垂らされている。
そこに避妊具をしっかり装着させると、モモシロくんは自身を私の中に挿入させてきた。
その大きさに少し顔が歪む。
熱く息をもらすと、モモシロくんが私の髪をかきあげた。
モモシロくんが一気に律動を始める。
その動きはいつもよりも激しく、積極的で。

「ああぁぁっ…モモシロくん…っ」
「杏…っ」

私たちはほとんど同時に意識を手放した。

━━━━━……………

「おっはよッス!」

俺は元気よく部室の扉を開けた。

「桃ちゃん先輩っ!!子供出来たって本当ッスか?!」
「………は?」

入るなり、堀尾が俺に駆け寄ってきた。

「おめでとう、桃。今日はお赤飯だね」

にこやかに笑顔を向ける不二先輩。

「また新しいデータが出来たな」

ノートにメモを取る乾先輩。

「………桃」

振り返ると、携帯を片手に胃を押さえる大石部長代理。

「手塚から…電話だ…」
「えっ」

恐る恐る電話に出る。
すると、すぐに手塚部長の怒鳴り声が聞こえてきた。

『桃城っ!お前はまだ中学生だぞっ?!子供が出来たってどういうことだっ』
「な、何のことッスかっ」
『うるさいっ!グラウンド100周行ってこい!!』
「はっ、はいぃ!」

慌てて部室から出るとそこには満面の笑みのエージ先輩。

「頑張れよ、もーもっ」

その様子で、この元凶がエージ先輩だとわかる。

「エージ先輩っ!!」

晴れ晴れとした青空に、俺の叫び声が空しくこだました。

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