テニスの王子様:桃城 武×橘 杏

いつもと違う何かが

「……モモシロくん? モモシロくんってばー」「……ん? あぁ!」桃城は、杏の疑問系から不機嫌系に変わった声に、やっと我に返った。ついつい、周りから言うなら柄にもなく、本人からしてみれば割と頻繁に、なのだが、考え事をしていた。「ワリワリー。な…

夏祭り

「おっまつりだーっっ!」浴衣の袖を揺らしながら、菊丸が嬉しそうに声をあげた。毎年のことながら、この青春台の夏祭りは多くの出店や人でごったがえし、とて も賑やかだ。そんな夏祭りに、普段から仲の良い青学面々と共に桃城はやってきた。1年に一度しか…

風邪

うっかりした。風邪ひいた。夏風邪かよ、このやろう。バカは風邪ひかない、と言うから俺はバカじゃなかったのか。いや、夏風邪をひくのはバカだと言う話も聞いたこともある。どっちだよ。どっちなんだよ。・・・そんなことはどうでもよくて。全国大会まであと…

押さえきれない

「どしたの、モモシロくん」前を歩く桃城に、杏は話しかけた。「なんでもねぇ」何でもなくなさそうに、桃城は言った。小走りで追いつき、ひょこっと頭を出し、彼の顔を覗けば、その彼はぷいっと顔 を背けた。「……眉間にしわ寄ってるよ?」それでも桃城はそ…

トリプルデート

「ねぇ、トリプルデートしない?」「トリプルデート…ッスか?」部室で着替えていた、桃城と越前に不二がやはり着替えながら尋ねた。「そ。朋香が是非したいって言ってね。桜乃ちゃんには多分伝わってると思うけど」桃城と越前は顔を見合わして、そうだろうな…

幸せ、不幸せ

何でだろう。私の中にはずっと桃城くんが居るのに。桃城くんが好きで好きで仕方がないのに。跡部くんと付き合うことになっちゃった。「好きだったのに。お前のこと」桃城くんはへへっと苦笑いをした。そんなことを私の目の前でさらっと言わないでよ。『好きだ…

こいつだけ。

「モモシロくんって浮気するタイプよね?」「………は?」休日の俺の部屋。あどけない顔でとんでもないことを言う杏に、俺はそう返さざるをえなかった。「だーかーら、浮気しちゃうタイプよね?」「………いや、何で?」付き合って数ヶ月。まだまだラブラブ真…

Smile&Feeling

不動峰と青学テニス部の合宿。にぎわう合宿所に貴方が居ないことに気がついた。「モモシロくん!」慣れない他校の敷地内をうろうろして、テニスコートの前まで来ると探していたツンツン頭を見つけた。「おー、橘妹。どうした?」「モモシロくんが居なかったか…

matrimony

「ちょっ、モモシロくん!ラケット忘れてるわよっ」「おっ、わりぃ、わりぃ」出会ってから12年後、桃城武と橘杏は結婚した。杏は『桃城』と姓を変えたのだが、学生時代の名残をなかなか戻すことはできない。「『武』でいいって言ってんのによー…」差し出さ…

run away!

「あ、来た来た!モモシロくん!」杏はこちらに走ってくる桃城に向かって大きく手を振った。「待ったか?」白い息を吐きながら、笑って彼は言った。全然、っと杏も笑顔で答え、二人は手を繋いでゆっくりと街路を歩き始めた。久々に訪れた桃城の部活休み、せっ…

そのトキ。

「モモシロくんってさ、いつから私のこと好きになった?」「ん?」桃城は杏の声に反応し、その目を雑誌から彼女へと移した。珍しく掃除された、桃城の部屋に寝ころんで杏はにこっと笑っていた。「ね、いつから?」茶色の髪をふわっと揺らした彼女はじっとこち…

貴方のココロ

誰にでも優しくて、誰とでも仲良くなれる。そんな貴方が好きになった私がいけないのに。「だから、もう少し腰を落としてな」久しぶりにストリートテニス場にモモシロくんが来て、すごく嬉しかったけど何人か女の子たちを連れていた。同じクラスの女の子みたい…