いちばん

少し嫉妬してみた。

バカか、と言われた。

散々からかわれた。

てめえは俺を見てんなこと考えてんのか。

でも、そうでしょ?

私は、貴方の中では一番じゃない。

だったら、嫉妬くらいさせてよ。

どうせ、一番にはなれないの。

だって、一番のことが好きな貴方が好きなんだもの。

だったら、嫉妬するのは無意味かも知れないけど。

私には貴方をそこまで夢中にさせることはできないから。

子供じみた嫉妬。

試合に出ていく貴方のユニフォームを少し掴んでみた。

怒るかと思ったけど、貴方はちょっと笑って私に軽くキスした。

お前の中じゃ、俺は一番だ。

その地位は誰にも譲らねぇ。

そう言ってヘルメットをかぶり、みんなの居る場所まで走っていく。

涙がこみ上げた。

一番にはなれないけど、でも。

貴方は私の一番で居てくれるのね。

ずっと、ずっとよ?

それほど貴方は私を、夢中にさせる。

一番はアメフト。

二番は私。

一生変わらないこの地位。

それでもいいと、今間違いなく思った。

さぁ、涙を拭いて精一杯応援しよう。

「Hut!!」