「だぁーかーら、マムシは俺のモノなんスよ!乾先輩ッ」
「そんなことデータは言ってないケド」
………だれかコイツ等を何とかしてくれ…。
ことの起こりは数十分前。
俺、海堂薫が部活後、体力づくりとして腹筋をしていたときのことだった。
「マムシぃ~♪手伝ってやるよ」
「うるせえ。あっち行け」
ムカつくほどの満面の笑顔でヤツ(桃城)が近づいてきた。
頼んでもねえのに俺の両足を押さえ、いろいろ話しかけてくる。
……正直に言えば嬉しくねえこともねえ。
そうしているうちに乾先輩がやってきたのだ。
「あれ?計算上、桃がここにいるはずはないんだけど」
「………居ちゃ悪いんスか」
そして今に至る。
「大体俺のモンに手を出すの止めて貰えませんかねぇ」
「おかしいな。データでは桃が海堂をモノにするのは0.000000000001%にも満たないはずなんだ」
「愛は“%”じゃ表せないんスよ」
「桃、データは嘘はつかないよ。前にもいったはずだ」
明らかにヤバイオーラがにじみ出ている二人。
出来るものなら一人でトレーニングがしてえ…。
……………………………………………すればいいじゃねぇか。
俺は争ってる二人からそっと離れると、そのままグラウンドに向かう。
どちらか一人を選ぶにはまだ早すぎる。
俺は走りながら、ひとつため息をついた。