extra. 翌日のデビルバッツ
ヒル魔は大きなあくびをした。
昨日起きた不思議な出来事。
信じがたい出来事ではあったが、結果的に今のヒル魔とまもりにとってお互いを再確認する重要な出来事だった。
その姉崎まもりも今、ヒル魔の隣を歩いている。
泥門高校へと通う道、二人で通るようになったことも、思えば珍しいことでは無くなったかも知れない。
どうして、自分は不安に思ったりしたんだろう。
今になって思えば、そう思う必要は無かった気がする。
まもりは、ポケットに入れられたヒル魔の手をじっと見つめる。
ヒル魔はそれに気づいたのか、ポケットから出した手をまもりに差し出した。
触れたヒル魔の手。
ひんやりした感覚にまもりはドキドキした。
「おはよー」
部室の扉を開けると、中にいた全員の視線がこちらに集中した。
顔面蒼白のモン太が痛々しい。
「え…どうしたの? みんな」
普通ではない雰囲気にまもりは頭にハテナマークを浮かべる。
ヒル魔はニヤニヤと笑った。
おろおろする栗田の横にいたセナが、おそるおそる切り出した。
「ま、まもり姉ちゃん…その…赤ちゃんどうだった…?」
「う…ウソですよね…まもりさん…」
「!!」
まもりは昨日の部室でヒル魔がついた嘘を思い出した。
みるみる顔が赤くなる。
「あああ赤ちゃんなんて、でっ出来るわけないでしょ! ちょ…ちょっとヒル魔くん!」
ヒル魔は笑いながら部室の奥へと入っていく。
「笑ってないでなんとかしてよっ!」
泥門高校一広い部室に、まもりの声が響いた。